26 10年後の日本社会の変化を組織変革コーチが語る

社員の笑顔 コラム

今回は最近アンテナを立てて

思索を続けているテーマについて書いてみようと思います。

そのテーマは、

「10年後の日本社会の変化を組織変革コーチが語る」という

壮大なもので、内容の質的にはまだゲラ刷り原稿の域を出ないものですが、

興味がある方はお付き合いください。

まず前提条件を示します。

それは企業の存在価値についてですが、

ドラッカーは著書「マネジメント」にこう書いています。

「事業体とは何かを問われると、

たいていの企業人は利益を得るための組織と答える。

たいていの経済学者も同じように答える。

この答えは間違いなだけではない。

的はずれである」

それはなぜか?

「利潤動機なるものは、

的はずれであるだけでなく、害を与える。

このコンセプトゆえに、

利益の本質に対する誤解と、

利益に対する根深い敵意が生じている。

この誤解と敵意こそ、

現代社会における危険な病原菌である。

利益と社会貢献は対立するとの謬見さえ生まれている」

からだとしています。

もちろん利益そのものが悪だという意味ではありません。

ドラッカーは

「全く私心のない天使が経営者であったとしても、利益には関心を持たざるをえない」

とも言っています。

勇気を持って短くまとめると、こうなります。

「利益のために会社があるのではない。

社会的な役割を果たすために会社がある。

しかし、利益が出なければ企業活動を継続できない。

利益は、今自分たちが行っていることが、

社会的に価値があるかを判断するための「指標」と言える。」

時代はようやくドラッカーの洞察に向かって

動き出しているように感じます。

ドラッカーがこの本を書いたのは30年前の1993年。

恐ろしいほどの先見性ですね。

長い引用でしたが、私の主張はようやくここから始まります。

このドラッカーの思想に共感し、

企業体とはこうあるべきだと考えて経営者に接してきましたが、

「短期的な利益の追求こそが全て」という

強烈な呪縛を解き放つことの難しさにもがいてきました。

全ての意思決定の動機が「効率化」や「利潤追求」であることによって、

(話しが飛躍しますが)日本社会は共感力や寛容性を失い、

働く人が疲弊して心身共に病んでしまっています。

人の心はどこかに置き去りにされた社会ができあがってしまいました。

単純に昔のような温情主義の時代に戻れなどと

言いたいのではありません。

働く人の心を大切にしつつ、

組織も成長できるようにするにはどうすれば良いか、

という問いへの答えは過去にはありません。

まだ見ぬ答えを未来に探しに行くという、

日本史や経済史にはないことを求められている

というのが現状ではないかと考えています。

詳しく書いているといくらでも長くなるので

また話しが飛躍しますが、最近、社会の変化を感じます。

それは、

「世のため人のためにならない企業には退場してもらおう」という世界的な潮流です。

ものすごく単純化した例を出してみると、

従来、企業の価値は従業員数・売上・利益などの数値指標で表されていました。

この価値が高い企業には銀行も融資し、投資家も投資していましたが、

20年ほど前から企業の評価基準にCSRの7つの原則が入ってきました。

ここには人権の尊重や倫理的な行動などが謳われています。

これらは直接的な利潤の追求には繋がらないため、

企業経営者があまり重視してこなかった項目です。

ところが最近の人々の精神性の発達につれて、

これらがとても重要視されるようになりました。

CSRに反し、サプライチェーン上での

強制労働・児童労働や差別、ハラスメントなどの

「人権リスク」への対応を怠る企業には厳しい目が注がれ、

存続が難しくなったのです。

最近、さらにESGやSDGsという指標が追加され、

企業は自身の利潤追求だけでなく、

環境や社会への責任を大きく果たすことが求められるようになってきました。

徐々に社会的な認知が変化し、

CSRにちゃんと取り組んでいない企業にはすでに銀行が融資を手控えてきています。

投資家もESGに配慮しない経営をしている企業を

投資先の選択から外し始めています。

反社会性の高い企業は将来の成長が期待できないのだから、

当然とも思える判断です。

私はこの流れが急カーブを描いて加速していると感じるのです。

世の中が大きく変化する兆候を感じているのです。

なぜ組織変革コーチがこんなことを考えているのか。

それについては次回のメルマガでお話ししたいと思います。

【質問です】

あなたの組織では、

経営者がどこまで本気でCSRに向かい合っていますか?

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