対立している二人をなんとかしたい。
組織変革を支援していると、さまざまな対立状態の相談を受けることがあります。
部門同士がいがみ合っていたり、特定の個人の仲が良くなかったり、
さまざまな形態がありますが、とても「ありがち」な組織のお悩みの一つですね。
対立解消は「コンフリクトマネージメント」と呼ばれています。
AさんとBさんがどうもうまく行かない。
水と油、犬猿の中だ。
直接話しをしてもらおうとしてもうまく行かないし、そもそも会話にならない・・。
当事者のAさんに話しを聞いてみると、Bさんがいかにダメかを聞かされる。
Bさんに話しを聞いてみると、Aさんがいかにいたらないかを聞かされる。
その対立で業務が進まず、社内が混乱している。
それを見ている社長は頭を抱えている・・・
いままでにやったことを聞いてみると・・・・
Aさん、Bさんに対して、それぞれがダメなところを指摘して、
どっちもどっちだと分からせる
→ 何も変わらず、失敗・・・
互いに相手の良いところも見るように諭す
→何も変わらず、失敗・・・
協力して仕事を進めてくれるように頼む
→今ココ。でもうまく行っていない・・・
もう、回りがさじを投げている状態だそうです。
おぉおぉ・・
これを解決するのは難しそうですね。
一種の思考実験のようになりそうですが、
「組織変革コーチだったらどうするか」について書いてみようと思います。
なんともチャレンジングなテーマになってしまいました。
まずは状況を冷静に俯瞰してみます。
双方に「問題は相手に(のみ)ある」という強い思い込みがあるように見えます。
あれ?
そう考えてみると、もしかしたら意外に解決は簡単なのかも知れません。
どちらかが「問題は相手に(のみ)ある」という固定観念を緩めることで、
なんらかの変化が期待できそうです。
ではどうすれば固定観念を緩めることができるのでしょうか?
「その固定観念はまちがっているからすぐに変えなさい」
と言う言葉がいかに無力であるか、あなたはおわかりですよね。
固定観念はそんな言葉ではびくともしません。
正面から指摘してもダメなので、違う方法を考えましょう。
まず、「相対的」という言葉が浮かんできました。
「相手がまちがっている」という固定観念が強すぎるのであれば、
相対的に弱める、と言う案はどうでしょうか。
仮に「相手がまちがっている」が100の強さを持っているとしたら、
他にも100の強さのものを持ってくれば、なんとなく弱まる感じがしませんか。
例えば「相手はまちがっているけど、世話になっていることもある」
「相手はまちがっているけど、条件が変わると正しいと思えるときもある」
「相手はまちがっているけど、それで喜ぶ人も中にはいる」
「相手はまちがっているけど、」以降がたくさん出てきて、
合わせると100の強さになれば、「まちがっている」が相対的に弱まりそうです。
であるなら、
もし「まちがっているけど、」以降が300の強さになれば、どうでしょう?
さらに1000の強さになれば、
もう「まちがっていることが気にならなく」なるということは起きてこないでしょうか?
これが視野を広げるとか、視座を高めるとか言われるモノで見えるものが変わってくると、
自然に解釈が変化してもおかしくありません。
これは、相互理解を過去にないレベルでていねいに深めていくことで
互いに新たな気づきを得ることができるように思います。
ベースになるのは「正しい言葉」ではなく「質の高い対話」ですね。
その対話の場をセッティングしたりホールドするのには多少のスキルが必要になりそうですが、
うまくいったときのことを想像すると、かなり「愉しい」取り組みになるような気がします。
「対立する二人をなんとかする」のは最初はチャレンジングなテーマだと思っていましたが、
書き始めるといくつものアイデアが浮かんできて書くのが愉しくなってきました。
さらにいくつかの「思考実験」も紹介できそうなので、
次回もこのテーマで書いてみようと思います。
もし「こういう対立構造の場合はどうすれば良いのか?」と
いうお悩みの具体例がありましたらぜひ質問としてお寄せください。
【質問です】
あなたの組織では、
対立している人達に対してどのように働きかけていますか?