020 心理的安全性を高める その2

社員の笑顔 コラム

パフォーマンスの高いチームが持つ固有の力学を突き止めようとして、
googleが次の5つの力学を発見しました。

① 心理的安全性
② 相互信頼
③ 構造と明確さ
④ 仕事の意味
⑤ インパクト

これらのうち、圧倒的に重要なのが心理的安全性です。

対人関係においてリスクある行動を取っても、
批判されたり無知だと言われたりしないことが信じられる状態ですね。
その結果、何が起きてくるかは明白です。
ホンネが語られ、自己開示が起きます。
もちろん話しがそこで終わってしまえば単なる「思いつきアイデアの開示やできない言い訳」
にしかならないかも知れませんが、心理的安全性は「ゴール」ではなくチームがパフォーマンスを
発揮するために、最初に必要な要素だといえるでしょう。
これがないと、いくら真剣に会議をやったり
さまざまな制度を導入してもうまく回らないことが起きがちです。

ただ、
心理的安全性については、まだ一部で誤解が残っているように感じます。

それは、「心理的安全性はゆるくて甘い」という考え方です。
極端な場合は、「仲良しこよし。みんなで傷をなめ合おう」
という受け止め方があるように思います。

本当にそうなのでしょうか?

少し前まで営業会議や役員会でほぼ全ての時間を使って、
社長が演説している場面を見ることがありました。
演説ならまだ良いのですが社員を順番に叱りつけていることも珍しくありませんでした。
もちろんみんな萎縮してしまい、社長と目を合わさないように下を向いています。
いまなら完全にパワハラ案件でアウトな状態です。
こんな状態で、価値のある意見やリスクを取ろうとする行動などは期待できません。

社長に聞いてみます。
「もう少し、みんなが話しやすい雰囲気にした方が結果的に価値的だと思うのですが」
「森田さん、そんな甘いことではダメですよ。
経営は命がけなんです。彼らは叱らないと、動かないんですから。」
「そうなんですね、最近の業績はいかがですか?」
「良くないですね、退職者も多い。だからそんなことではだめだと言って叱り続けているんです。」
「どのくらいこのような状況が続いていますか?」
「もう10年になります。十年間叱り続けているのに、まったく学ぼうとしない社員ばかりです」

おぉ・・
この社長にあなたの行動を変えた方が良いと言っても聞いてくれないでしょうし、
実際に聞いてくれませんでした。

その後、かなり長期間にわたってコーチングを実施し、
1週間泊まりがけで行う内観療法にも参加してもらい、
ようやく認知を書き換えてくれる日がやってきました。

その社長が言いました。
「森田さん、心理的安全性を高めるのは、単に甘い場にすればよいのではないと言うことがよく分かりました。
かなりレベルの高い前向きの気持ちがあって、それを表明したときにも安心でいられる、と言うことなんですね。
これはかなり高い精神性が、私にも社員にも求められます。
経営は命がけだと思っていましたが、心理的安全性を作るのも命がけですね。

そうなんです。
心理的安全性は単なる仲良しこよしではなく、リスクを取って前向きにチャレンジをしても、
責められたり、ばかにされたりしないという安心感なんですね。
これがチーミングのスタートだといえるでしょうが、
これを醸成するのはそうそう簡単ではありません。
正しい理解と覚悟が必要だと思っています。

まずはトップから心理的安全性の本来の意味について、
しっかりと探求してみることをお勧めします。

【質問です】
あなたの組織では、
心理的安全性の本来の意味が探求され、共有されていますか?

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