010 後編:部門間の関係性を改善する

社員の笑顔 組織変革事例

前回のメルマガで、組織を変えるためにやることはとても単純で、
コミュニケーションの質を高めることですと書きました。

今回は2人の読者から
「具体的にどうやって高めたらよいのか」という質問をいただきました。
※質問をいただくと、読んでくれているんだと思ってうれしくなりますので、
 どんどん質問をお寄せください!

さて、回答なんですが
「心理的安全性が高くなると、コミュニケーションの質も高くなりますよ。以上!」
というのが基本的な回答になるのですが、
それだとあまりオモシロくないでしょうから、具体的な事例を紹介しますね。

今回ご質問いただいたのは、お二人ともメーカーの方なので、製造業の場合を書いてみます。
生産部門と営業部門の間ではよく対立が起きています。

クレームが起きると、双方が相手を非難します。
営業部門では、工場がちゃんと作らないから俺たちが謝りに行かないといけない。
おまえら、ちゃんとやってくれよという声が出てきます。

生産部門では、そんなむちゃな納期で受けてくるのが悪いだろ。
それに仕様もちゃんと聞き取ってきてないのが原因なんだから。
もっと商品のことを勉強しろよ!という声が聞こえてきます。

みんな同じ会社の仲間なんだから、
ケンカなんかしないで互いに相手の立場を考えて仕事しましょうね、
と言ってみても、なかなかそううまくはいかないものです。

正しいことを言うだけではダメなので、しっかりと気づいてもらいましょう。

私がよくやるのが「なりきりワーク」です。
これは、対立している相手の部門になりきって、相互にプレゼンをします。
具体的には、生産部門のメンバーが営業部門の大変さや苦しさ、
同時に愉しさや誇りなどをみんなで想像してもらうということをやります。

同様に営業部門にも生産部門の大変さや愉しさを想像してもらいます。
そうすると、生産部門のメンバーはみんなで話し合って
「営業部門」についていろいろと出してくれるでしょう。

営業の大変さとしては、毎月の数字を抱えているストレスや、

休日にも客先から電話がかかってくるつらさ、
酷暑の日も、厳寒の日も外を走り回ることなどが出てくるかも知れません。
愉しさとしては、目標を達成したときの喜び、
苦労して納品したときのお客さまの笑顔などが出てきそうですね。

営業部門も製造部門のことをたくさん想像してくれるでしょう。

厳しい品質基準のために、神経をすり減らしているしんどさや、
短い納期に間に合わせるために、さまざまな工夫をして、
脳みそにいっぱいの汗をかいていることなどはすぐに出てくることでしょう。

自分達が作った製品が、お客さまのビジネスに貢献していることは、
エンジニアのみなさんにとっては最高の誇りだという事にも気づいてくれるはずです。
それらをいっぱい模造紙に書き出し、みんなで相手の部門になりきってプレゼンをします。

できるだけ愉しく、陽気にやってもらってください。

作業服を着た生産部門のメンバーが
「俺たち営業マンは、こんなに大変だ!だけどこんな喜びもある」
と言ってアピールします。

終わったら交代して今度はスーツ姿の営業マン達が
「私たち製造部門は・・」とやります。

これをやるとどうなるか、もう、おわかりですよね。
互いに相手の立場に立って深く考えることで共感しやすくなります。

愉しくゲーム感覚でやっていただくことで、
部門間の相互理解が過去にないレベルで、圧倒的に進みます。
今までは営業グループと生産グループとに別々に分かれていたのが、
一つの「チーム」になった瞬間です。

「部門」というのは、専門性や業務効率を高めるために作られるのですが、
できた瞬間からそこに壁や溝が発生しがちと言う悲しい特性を持っています。
このようなワークを適切に組み合わせることで、
相互理解、相互信頼を重ね、心理的安全性を高めていくのが組織変革のプロセス設計です。

組織は、やると決めたら必ず変えられるんです!

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