「リーダーシップ」という言葉の歴史は古いのですが、
最近は「フォロワーシップ」という言葉も
すっかり定着してきましたね。
NASA(アメリカ航空宇宙局)や
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の
ホームページを見ると、ひんぱんにこの言葉が使われています。
孤立無援の極限状態で活動する宇宙飛行士達にとって、
とても大切なスキルのようです。
日本初の女性宇宙飛行士である向井千秋さんが、
インタビューでこのように回答されていました。
「精神心理の分野では、例えば、
とても優秀なAという人とBという人がいたとしても、
非常に優秀なチームになるとは限らず、
お互いに足を引っ張ってしまうこともあります。
ですから、リーダーシップやフォロワーシップ、また、
どうすればストレスを解消できるかといった精神心理面をよくすることによって、
素晴らしいチームを作ります。精神心理のケアはとても大事です。 」
「組織変革はトップの認知変容から始まる」
というのが私の基本アプローチです。
理由は、トップが変わらないと、
部下や会社はとても変わりにくいからです。
でも、部下が変わるとトップが変わるのもまた事実です。
そういう意味では、トップも社員も、皆同じシステムの中にいるという、
システムシンキングの考え方はやはりすばらしいと思います。
どちらが悪いのかという議論には何の価値もないと思っています。
これから先、どうありたいのかという対話から始める
フューチャーサーチが対立構造を解消し、
リーダである経営者と、フォロワーである社員のパフォーマンスを
向上させるためにすばらしく効果的です。
その関係性と相互影響を見るとき、
一つの問いが浮かんできました。
その語感から、「リーダーシップ」は強力に前に引っ張る人、
「フォロワーシップ」はそれに従ってついていく人
というイメージがありそうですが、果たして本当にそれだけでしょうか?
上司がリーダーシップを発揮し、
部下がそれに従順についていくだけでは
強くて良い組織にならないと思います。
アメリカ、ニューヨーク州にある最も古い陸軍士官学校、
通称ウェスト・ポイントではこんな教えがあります。
「フォロワーシップはリーダーシップの始まりである」
フォロワーシップとは、リーダーについていくと言うことだけでなく、
チームに欠けているものを自発的に補っていくと捉えたほうがしっくりくる感じがします。
いや、むしろそちらのほうが大切ではないでしょうか。
フォロワーシップをきちんと発揮できる人が
次のリーダーになるというウェスト・ポイントの教えに共感します。
大局的な方針を示すリーダーと現場で最良の方法を考えて行動する
フォロワーのチームワークから何が生まれるでしょうか。
おそらく強靱で、効率的なチームが生まれると思います。
リーダーについていくフォロワーという発想ではなく、
リーダーを支えるフォロワーという関係性の方が
好ましい成果を出せるようになります。
さらに、自発的に考えて動くフォロワーをリーダーが支えることによって
その変化の可能性は数割ではなく、一桁変わってきそうですね。
リーダーとフォロワーは、
対立したり分断されたものではなく、
互いに理解し、互いに支え合うことによって
両者が最高のパフォーマンスを発揮できるようになる関係性だと思います。
そのために、リーダーはフォロワーに対してあるべき姿を押しつけるのではなく、
ありたい姿を一緒に考えて見るのがとても効果的です。
私が組織変革の支援をするとき、
社員の方に必ずお伝えするメッセージがあります。
フォロワーの方は、リーダーに対してあるべき理想の姿を求め続けるのではなく、
自身が提供できるサポートは何かを考えて見ることをお勧めします。
なぜなら、その方があなたが所属するチームが成功する可能性が高くなるからです。
次にあなたがリーダーになるとき、良いフォロワーであった経験は必ず役に立ちますよ。
【質問です】
あなたの組織では、
上司が、部下のフォロワーシップに対して
それを支えるというリーダーシップを発揮していますか?