012 組織における慣性の法則とは

社員の笑顔 コラム

ロボット開発を30年近くやってきた私の思考特性は、
おそらく「理系」に分類されるのだろうと思っています。
組織変革にもこの理系脳が、結構役立っているように思います。

ご存じのように、物理学の基本法則の1つに「慣性の法則」があります。
①静止している物体はいつまでも静止し続ける。
②運動している物体はいつまでも等速直線運動を続ける。
「テーブルクロス引き」や「だるまと落とし」などは、
この慣性の法則を利用していますね。

これは外力を受けないときの、
物体の運動状態を説明しているのですが、
②については「惰性(だせい)」とも言われます。

理系脳で考えると、
この説明がそのまま人の集合体である組織にも当てはまるように思います。
多くの組織で、あまりうまくいっていないマネージメントスタイルを
「問題がある!」と言いつつも継続させてしまっていることは、
経営の「惰性」なのかも知れません。

しかし、「組織」という集団には強い慣性の力が働いていて、
その風土を変えるのは、とても難しいことにまちがいはありません。
組織の持続的な成長を手に入れるためには、心理的安全性の必要性や、
多様性を受け入れることの大切さなどがさまざまな研究結果によって、驚くほど明確になって来ています。

組織変革には、今までとはちがった考え方を受け入れると同時に、
既存の慣例や仕組みを変える必要があります。
コーチング研究所の調査によって、
「イノベーティブな風土」を作るのに影響力が特に強い項目が判明しました。

それは、
①組織のトップ同士のコミュニケーション(相関係数0.76)
②現場社員間の所属部署の領域を越えた協力関係(相関係数0.71)
の、2つです。
それぞれ説明の必要もないほど、納得感の高い調査結果だと思います。
もちろん、これらのレベルが高いほど、
社員のモチベーションと業績も高いことは言うまでもありません。

①について、リーダー同士の関係の質が高い組織の、
90%以上のトップがとっていた行動は、次の3つでした。

トップがこれらの行動をとっていない場合調査結果によるとその会社は、つながりの弱い会社と言えます。
一般の社員から見て、「上司は、他の上長と十分なコミュニケーションを交わしている」と感じる人が多い組織では、
「私達社員は、相手がちがう部署であっても領域を超えて協力している」と回答している人が圧倒的に多くなっています。
これでは組織が良くなっていかないはずがありませんね。

これらの調査から、
組織変革のためには、各部署のトップ同士のコミュニケーションを活発にすることが
求められていることがわかります。
そうすると、実際に組織の風土を変えて、イノベーティブにするのが難しいのは、
起点となる各組織のトップマネージャー間のコミュニケーションが、
圧倒的に不足しているからといえるのではないでしょうか。

コミュニケーションは、量も大切ですが質も大切です。
質の高いコミュニケーションを取っている組織では、
相手の意見や振る舞いを、その都度自身の考えと比較して、
良い・悪いをジャッジしながら聞く姿勢を取っていません。

組織変革を開始するには、まず組織のトップであるマネージャーのみなさんが、
他部署のトップと質の高い対話の場を作ることから始めることをおすすめします。
それは、必ずトップであるあなた自身の仕事が愉しくなり、
組織にイノベーションが起きることに繋がります。
組織の慣性の法則を打ち破りましょう。

質問です。
あなたの組織では、上司が他の上長との間で、質の高い対話をできていますか?

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