学問の世界では長年の間、「心理学は科学なのか」という議論がされてきました。
非科学派の主張は、再現性や客観性がないと言うことのようです。
確かに人の心の中は客観的に見ることができません。
言葉や表情の変化を見ても、受け取る側の解釈によってどうとでも取れると言えます。
相手がどう感じているのかを知るために共感力を磨くことが大切だと言われたり、
そもそもよく感じていただくために、おもてなしの心が必要だと言われたりしていますね。
人の心を客観的に見るために、ウソ発見器が開発されました。
正式にはポリグラフ装置と呼ばれるもので、被験者の複数の生理反応を精密に測定して、
その変化から「ウソ」を見抜こうとしたものです。
簡単なものでは、汗をかいた量を測定して検査するものもありますが、
まぁ、おもちゃですね。
警察が捜査に使うものだと20種類もの生理反応を測定します。
私だったら、この装置にかけられた時点で大汗をかいてしまうように思いますが・・・
ただし、この装置も、捜査員の質問技術によってかなり結果が異なるようで、
裁判でも証拠の一つとしてしか採用されないようです。
ところが、近年、MRI(核磁気共鳴画像法)を
さらに進歩させたfMRIという装置が開発されました。
シーメンス社のfMRI。約10億円!
本来はアルツハイマー病のような脳機能の衰えの診断と治療のために開発されたのですが、
これが心理学の研究にとても役立つことが分かってきました。
普通のMRIでは脳の構造しか見ることができないのに比べ、
fMRIは脳の機能活動がどの部位で起きたかをリアルタイムで可視化できるのです。
これを使うと質問されたときに、脳のどの部位が活性化するかを観察することで、
「いまどう感じているか」を客観的に知ることができます。
「怒ってる?」と聞いて相手が「怒ってないよ~」と返事をしてくれても、
脳の前頭葉の左側が激しく活性化しているのがfMRIで観察できた場合、
相手は本当は「怒って」いることが分かります。
相手の本心が分かるというのは何かに役立ちそうな気がします。
もしかして、fMRIって夫婦げんかの解消に役立つのでしょうか?
う~ん、いろいろと考えて見ましたが、
10億円もする装置を買うより、奥様の誕生日を忘れないことと、
プレゼントを用意する方がはるかに愉しい夫婦生活を送れるように思います。