【編集後記】星空に浮かぶ 富士山の写真を撮る

編集後記

今回もマニアックな話題ですが、比較的普通のマニアであるカメラのお話しです。
とは言っても撮影対象が「星」になると、若干マニア度が上がります。

先日、車で東京に行くときに山中湖畔のホテルで一泊しました。
部屋からの富士山の景色は最高でした。
いつもの新幹線からの富士山のサイズと比べると、
数倍は大きく見えるその姿には圧倒されてしまいました。
富士山の周りに輝く星の数も都会で見るときとは1桁違って見えます。
満天に輝く星達を見ていると、
あまりにキレイなので星景写真を撮ろうと思い、車にカメラを取りに行きました。

でも、気温が低いので部屋の窓からお気楽に撮影することにしました。
夜10時前に月が昇ってきたのですが、
夜の富士山は人間の目では雪で白い山頂部がかろうじて見える程度で、
それ以外はまったくなにも見えません。

肉眼で見る景色はこんな感じです。

これをきれいに写真に写すためには少しだけテクニックが必要です。
カメラのシャッタースピードを開放状態にして外部からコントールします。
何枚かテスト撮影して、15秒開放するとようやく富士山の裾野の緑が浮かび上がってきました。

こんな感じです。

人間の目のシャッター速度は1/30秒と言われていますので、
15秒にすると450倍の明るさになったはずです。

次に星を写し込むための計算です。
星の移動を線状にして写真に収めるためには、ある程度の長さの軌跡が必要です。
星は24時間で天空を一周するため、1時間だと約15度の角度分移動することになります。
と言うことは15秒間シャッターを開ける制御を1時間、つまり240回繰り返すと、
星が15度移動した軌跡が撮影できることになります。

本当かどうか、やってみましょう。

1時間で240枚の写真が撮れましたが、それぞれの写真では星はまだ点のままです。
その240枚の写真をパソコンに移し、天文ソフトで全部重ね合わせて一枚の写真に合成します。
そうすると真夜中とは思えないほど明るい富士山と、
背景の空を移動するたくさんの星の軌跡が白い線に写った写真ができあがりました。

そうやって撮った写真がこれです。

赤い破線は飛行機の尾灯のようです。
肉眼では見えませんでしたが、結構たくさん飛んでいるのがわかりますね。
寒い時期の方が大気が澄んでいてきれいな星景写真が撮れるようです。

でも準備やテストそして後処理を入れるとこの1枚の写真を撮るのに、
2時間近くかかるのが問題です。

そうです、寒いんです!

今回のようにホテルの部屋の中から撮るなら良いのですが、
本気で構図などを考えるとそれではうまく行きません。
野外で撮影するのがマニアのこだわりですが、とはいえ寒い・・・
カメラに関しては軟弱マニアの森田は、
もう少し暖かくなってから再チャレンジしようかなと思います。

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