あきれるほど多趣味でどんなことにでも興味を持つ私ですが、
大雪が続く最近、また1つ関心を持つネタが増えました。
それは「懸垂降下」で、
ロープを使って高所から下降する方法のことです。
よく消防のレスキューが、ヘリコプターから一本のロープを伝って地面に降りていますが、あれのことです。
きっかけは出張先のホテルで窓の外を見ているとき、
ふと、今火事が起きたら助かるだろうかと思ったんですね。
もちろん非常階段はあるのですが、
マニアな私は「部屋にあるものだけで脱出をする」と決めて考えて見ました。
電気の線やLANケーブルなどは強度が足らないので、ダメなことは考えるまでもありません。
浴衣、シーツ、カーテン、バスタオル、着替えの衣料などは使えそうです。
全部合わせると10m以上にはなりそうなので、3階くらいなら地面まで届きそうですが、
これらを結ぶとすごく短くなり、おそらく7mも残れば良い方ではないでしょうか。
さらにベッドの足にそれを結んで窓に垂らすとすると、使える長さはせいぜい5mでしょうか。
これではまったく足らないと思い、部屋の中での調達はあきらめて、
最低限の道具を用意するにはどうしたら良いかを考えることにしました。
なにかが気になると止められなくなるのがマニアの習性ですね。
登山やレスキューのサイトを調べてみたところ、驚くべき事が解りました。
懸垂降下している人たちは、ロープを手で握って体重を支えていないんです!
ビレイディバイスという小さな道具を使ってロープとの間で発生する摩擦で、
降下速度をコントロールしているのです。
そのデバイスを腰のハーネスに接続しているので、
正しく装着すると両手を離しても静止していることができるようです。
10階の窓から緊急脱出しようとすると30mもの懸垂降下になり、
握力が無くなったら即墜落だなと思っていたのですが、そうではないようです。
クライマーの命を預かるビレイディバイス!
なんと美しい言葉の響でしょうか?俄然マニアの血が騒ぎます。
さらに調べてみると、ディッセンダーと呼ばれる下降器やエイト環と呼ばれるものなど、
たくさんの下降ツールがあります。
まずはエイト環を1600円で買ってみました。
オレンジ色にメッキされたそのビレイデバイスは、
ビルの3階にある事務所の机の上でとても怪しく光っています。
これがあれば事務所のビルが火事になっても、
私は脱出できるんだ!と思うとワクワクしてきます^_^
さらにそれらを繋ぐカラビナも、高強度アルミ鍛造で製造されています。
破断強度は約3トンで、あなたの生命は私に任せなさいと言う信頼感にあふれています。
登山の世界では、自分の命を預ける相手や道具を「確保者」と呼びます。
二人を繋ぐロープワークや各種の装備の使い方、
降りた後にロープを回収するためのシステムを設計するなど、膨大なノウハウが求められます。
文部省の国立登山研修所が書いた、「確保理論」についての論文が手に入りました。
今忙しいので、これをいつ読めるようになるのか分かりませんが、その日が待ち遠しくて仕方がありません。
机の上のエイト環を眺めながら、エベレストやマッキンリーに登るような人は、
単に体力があるだけでなく相当な知力と、判断をする勇気などを備えているんだろうと言うことが感じられました。
本格的なアルペン登山を始める体力も勇気もありませんが、
暖かくなれば少しだけ沢登でもしてみようかなという気持ちになってきました。
垂直降下でも壁面から離れて完全に空中に浮いた状態を空中降下と呼ぶそうです。
沢の水しぶきを浴びながら、一本のロープに身を預けて、10mの滝を空中降下で下っていく。
初夏の沢でのそんな状態を想像すると、なんだか楽しくなってきました。